概要
マイクロ波化学㈱(東証GRT9227)は、2023年5月12日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
マイクロ波化学技術プラットフォームを活用した研究開発からエンジニアリングまでのソリューション提供。顧客の課題に対して仮説をデータベースから抽出した後、要素技術群より使用技術を選定し、反応系のデザイン及び反応器のデザインを行い、最終的にソリューションを提供。
強み
- マイクロ波吸収の測定方法を独自開発・確立、データベース化を進め、それに基づいた反応系デザインのパターン認識とノウハウ蓄積を進めることで体系化(反応系デザイン)。
- シミュレーション技術の開発を進め、状態再現の精度を上げるため電磁場解析、熱流体解析を連成させ、スーパーコンピューターを導入することにより大型反応器と複雑系にも対応可能(反応器デザイン)。
- 2014年に大阪にて、マイクロ波化学プロセスを用いた大型化学工場を完成、消防法等の各種法令にも対応し、商業運転を開始。
- 技術プラットフォーム(反応系と反応器のデザイン力と要素技術群、プラットフォームを支える特許・ノウハウ)。
- 開発チームとインフラ(物理・化学・エンジニア・シミュレーションなどの分野横断的なチーム、マイクロ波に特化した大規模なラボと実証開発インフラ)。
- 顧客基盤と蓄積(継続的な関係を通して得た顧客課題や要望の深い理解、大規模な商業プラントの立上・運転経験から蓄積した生産技術・法令対応)。
中期経営計画
2024年3月期の数値目標は、売上高1,846百万円(2023年月期実績1,215百万円)、営業利益40百万円(同59百万円)、とした。
リスク
- マイクロ波プロセスは、基礎化成品、機能性化成品、燃料など様々な領域に応用可能であると考えているが、新しい技術領域であり不確実性が高いため、同社技術の市場への浸透が計画通りに進まない場合、同社の事業戦略および経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
- 同社は、独自に構築したプラットフォーム技術を事業基盤としており、マイクロ波化学分野においては強固な競争優位性を確保しているものと考えられるが、同社を上回る研究開発能力を備えた新規参入企業が出現すること、または同社の特許技術に抵触しない技術をもって同社を上回る技術が開発される可能性がある。
- 同社の事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はなく、現時点においては、同社の事業に関し他者が保有する特許権等への侵害により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識される。また、技術調査等を継続して行って侵害事件を回避するよう努めている。ただし、同社のような研究開発型の企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難。今後、同社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当該第三者の主張の適否にかかわらず、解決に時間および多額の費用を要する可能性があり、また、第三者が同社の技術を侵害した場合であっても、解決に時間および多額の費用を要する可能性がある。その場合には同社の事業戦略および経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
所感
同社は、重層的な参入障壁と研究開発からエンジニアリングまでソリューションとして提供可能なプラットフォーム企業であり、ソリューション提供が技術プラットフォームの強化につながる好循環な事業モデルを構築している。また、業界・市場に共通した課題に対して標準化したソリューションを提供することで、事業を横展開し、スケールする可能性を秘めている。同社の今後の飛躍が期待される。
2023年3月期通期決算説明資料(事業計画及び成⾧可能性に関する事項)
以上
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