概要
インフォメティス㈱(東証GRT281A)は、2024年12月9日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
- スマート・リビングサービス(電力消費者向け):電力消費者側の行動変容による電力利用効率の最適化を目的として、電力消費者にサービスや設備を直接提供している賃貸事業者、ハウスメーカー及び住宅設備商社に向けて、AI+IoT住宅サービス(電力の見える化サービス)や設備の遠隔制御サービスなどを提供。
- スマート・リビングサービス(電力事業者向け):既存の電力メーターからの30分単位の電力データ(電力30分値データ)を活用することで、リアルタイム性や高い精度を求めるのではなく、初期コストを抑えた(=電力センサーの設置が不要)電力使用状況見える化サービスを求める電力事業者の声に応え、簡易電力使用状況見える化サービス(NILMライトサービス)を提供。
- エネルギー・マネジメントサービス(蓄電池AI最適制御、V2H AI最適制御):数理最適化AI技術を活用し、EV(電気自動車)の利用も含めた家庭の電気の使用状況やPV(太陽光発電)の発電状況、天気予報などの情報をAIが分析・予測し、蓄電池やEVの充電・放電を自動でコントロールし、家庭のエネルギーの使い方を最適化する。PV・EV・蓄電池の稼働状況は、「enenowa(エネノワ)」を通じて確認することができるサービスを提供。
- エネルギー・マネジメントサービス(エネルギー・マネジメントサービスBridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール):主に小売電気事業者及びエナジー・リソース・アグリゲーション・ビジネス事業者に向けて、クラウド型デマンドレスポンス支援サービス「BridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール)」を提供。デマンドレスポンスとは、電力需給の極端な乱れが見込まれる場合に、小売電気事業者等が対象となる時間を指定したうえで、電力消費者に対象時間の電力消費の抑制を促し、抑制実績に基づいて、電気料金を割り引いたり、ポイント等を付与することを指す。
強み
- 標準電力スマートメーターのデータ活用に先行優位のポジションを確立:次世代スマートメーター計量部に高精細電力計測方式が仕様化されることが確定。東京電力エリアにおいて、電力系統の安全管理等に活用すべく東京電力パワーグリッドと協業していることから、データ活用に先行優位性を持つ。
- SaaSモデル/リカーリング収入に支えられ逓増していく収益基盤:過去3年9か月間のCAGRが33.8%。基盤作りの先行投資が先行しており、2024/12期から収益化フェーズへ入り、センサー導入の拡大がその後のストック収益につながり、ストック売上比率が拡大する。
- 世界トップクラスの電力AI技術(ソニー発):エネルギーデータをAI(機械学習)により分析し、家庭や施設の総電力データから「どの家電がいつ、どのくらい使われているか」をリアルタイムに推定する機器分離推定技術(Non-Intrusive Load Monitoring技術(NILM))や最適化技術を中核とするエネルギーデータ解析に特化。NILMは、各家庭や各施設の総電力の入口である主幹部分に設置した1つの電力センサーにより総電力データを取得し、主幹電力波形をAI(機械学習)等により分析することで、家電ごとにたくさんのセンサーを取り付けたり、スマート家電に買い替えたりすることなく、どの家電が、いつ、どれくらい使われていたかを推定するインフォメティスのコア技術。
- 国内No.1電力会社を含む大手企業との強固なアライアンス戦略:国内外のエネルギー関連企業や、各業界を代表する企業との事業・資本提携により新規サービスの実証実験やサービス導入が可能。秘匿性の高いデータの取得も可能。
- 全世界で拡大するエネルギーデジタル市場で欧州でも新サービスで先行:環境対策への意識が高い欧州で、脱炭素関連の規制などによりヒートポンプへのシフトが急増している。欧州でのヒートポンプシェア20%のダイキン社の製品にインフォメティスの基盤技術が採用。
中期経営計画
2024年12月期の数値予想は、売上高1,067百万円(2023年12月期実績698百万円)、営業利益103百万円(同▲11百万円)、とした。
リスク
- 競争力の相対的な低下:技術革新への対応遅れや、競合のより優れた技術の台頭。
- 企業提携関係:東京電力パワーグリッド株式会社や大和リビング株式会社等依存度の高い特定販売先、WNCなど特定仕入先との関係の変化。
- サプライチェーン:半導体供給難や、部材コスト上昇リスク。
- 収益の季節偏重:売上が第4四半期に偏重する季節性あり、翌期にずれ込むリスク。
- 人材確保:人材競争の激化により有能な人材がスピーディーに確保できないリスク。
- 情報漏洩:個人情報や重要情報の外部流出。
- 法的規制:個人情報、プライバシー観点でのデータ取り扱い、活用規制。
M&Aニーズ
- 電力データを活用できていない業界・業種へアプローチし、アライアンス体制を構築
- 空調制御
- エコキュート制御
- 認知症検知
- 不在配送解消
所感
インフォメティスは、「エネルギーデータの力で、暮らしの未来を変えていく。」をミッションとして、「エネルギー×AI」をコア技術に、消費電力、太陽光発電量、気象情報等をIoTプラットフォームに収集しAI分析、電力を賢く使って生活を便利安心にするエネルギー最適化ソリューションを提供 。商用化段階のサービスも多く、同社のアライアンス戦略と各種業界へのアプローチ、市場拡大など今後の同社の取り組みから目が離せない。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
以上