プラントエンジニアリング業界はM&Aが活発化
プラントエンジニアリング(総合エンジニアリング)業界は、技術革新や市場の変化への対応、商圏拡大、海外展開、人材確保等を背景に、大手企業による合従連衡等が相次いでいる。以下、プラントエンジニアリング業界における意欲的なM&A事例7例を確認する。
①新興プランテックが総合エンジニアリングのJXエンジニアリング㈱と合併(経営統合)(2019年7月)
概要
新興プランテック㈱(現、レイズネクスト㈱、東証PRM6379、総合エンジニアリング)は、JXTG ホールディングス㈱(現、ENEOSホールディングス㈱、東証PRM5020)の子会社で、各種建設工事・保全工事の設計、施工、施工監理および受託業務等を手掛けるJXエンジニアリング㈱と経営統合。
狙い
両社グループが統合により経営資源を結集することで、新興プランテックの強みである「高度な施工管理能力」と、JXエンジニアリングの強みである「高度なエンジニアリング技術」とを融合、高度なエンジニアリング力を有するプラントメンテナンスの国内リーディングカンパニーを目指す。また、相互のリソースを有効活用することで、多様化する生産設備の新設・改造需要を取り込み、事業規模の更なる拡大を目指す。
②三菱商事が総合エンジニアリングの千代田化工建設㈱を子会社化(2019年9月)
概要
三菱商事㈱(東証PRM8058、総合商社)は、総合エンジニアリングの千代田化工建設㈱(東証STD6366)の株式を取得し子会社化。
狙い
既存プロジェクト及び今後受注予定のプロジェクトの運転資金調達、抜本的なコスト削減の為の構造改革、建設力の強化とITマネジメントの為の設備投資、を図ることで、千代田化工建設の経営再建を目指す。
③日揮ホールディングスが総合エンジニアリングの㈱IHIプラントの医薬品製造プラントEPC事業の事業譲受(2022年4月)
概要
日揮ホールディングス㈱(東証PRM1963、総合エンジニアリング)は、㈱IHI(東証PRM7013)の子会社で、資源・エネルギー・環境分野のプラントの設計、製造から据付、修理、サービス等を手掛ける㈱IHIプラントの医薬品製造プラントEPC事業を事業譲受。
狙い
日揮ホールディングスは、日揮ホールディングスが有する医薬品製造分野における人財、知見、実績と、IHIプラントが培ってきた人財、知見を融合、医薬品分野の更なる事業拡大を目指す。
④東洋エンジニアリングがブラジルEPCのTS Participações e Investimentos S.A.の株式取得(子会社化)(2024年6月)
概要
東洋エンジニアリング㈱(東証PRM6330、総合エンジニアリング)は、ブラジルで各種産業設備の企画、設計、機器調達、建設、運転指導、洋上石油・ガス設備向けモジュールの設計、組立、据付を手掛けるTS Participações e Investimentos S.A.の株式を取得し子会社化。
狙い
東洋エンジニアリングは、ブラジルにおいて、TS Participações e Investimentosと共同で事業推進するも、一部プロジェクトにおける収支悪化、キャッシュフロー悪化に伴い、財務体質の改善や収益力の向上が急務な状況。東洋エンジニアリングは、TS Participações e Investimentosを子会社化することで、遂行中のプロジェクトに関する実行支援、リスク管理とガバナンス強化、資本の充実による財務基盤強化を図る。
⑤日揮ホールディングスがプラントエンジニアリングの㈱高田工業所と資本業務提携(2025年3月)
概要
日揮ホールディングス㈱(東証PRM1963、総合エンジニアリング)は、プラント事業を手掛ける㈱高田工業所と資本業務提携。
狙い
エンジニアリング及び施工マネジメントにおける高度な専門性と豊富な経験を有する両社が協力することで、両社の将来的なプラントエンジニアリング及びメンテナンス分野における施工対応力の維持・強化を図る。
⑥JFEホールディングスが総合エンジニアリングの住友ケミカルエンジニアリング㈱を子会社化(2025年3月)
概要
JFEホールディングス㈱(東証PRM5411、鉄鋼、エンジニアリング)は、住友化学㈱(東証PRM4005)の子会社で、基礎化学品・機能化学品プラント及び半導体製造用薬液供給システム等の建設に係る企画、設計、調達、工事、試運転およびメンテナンスを手掛ける住友ケミカルエンジニアリング㈱の株式を取得し子会社化。
狙い
JFEホールディングス傘下のJFEエンジニアリング㈱は、JFEグループの総合エンジニアリング会社として、エネルギー・環境・社会インフラ分野などにおいて、人々の生活と産業を支えるエンジニアリング事業を幅広く展開、今後も市場の成長が見込まれる化学プラント領域でのEPCを強化拡大する。
⑦メタウォーターがプラントエンジニアリングの米国Schwing Bioset, Inc.の株式取得(子会社化)(2025年4月)
概要
メタウォーター㈱(東証PRM9551、上下水処理設備等)は、米国で汚泥処理システムの販売・製造を手掛けるSchwing Bioset, Inc.の株式を取得し子会社化。
狙い
Schwing Biosetは、米国に本拠を置くエンジニアリング企業であり、特に汚泥処理に関するエンジニアリングとサービスを北米全域および南米で展開。メタウォーターは、Schwing Biosetを買収することで、メタウォーターの北米グループ企業であるAqua-Aerobic Systems, Inc.とWigen Companies, Inc.との連携を強化、北米事業全体のシナジーを創出し、革新的なソリューションの提供を目指す。
所感
プラントエンジニアリング(総合エンジニアリング)業界は、技術革新や市場の変化へ対応する形で、大手企業による合従連衡が相次いでいる。プラントエンジニアリング専業にとっては、人材確保や海外展開力強化等が急務。一方、大手メーカー等においては、資本効率等の観点から、自前でプラントエンジニアリング部門を有することの是非が問われている。国際情勢や景況感等に左右されやすいビジネスであり、経営基盤強化やリスクコントロールの観点からも規模拡大は必須の状況。今後も活発なM&A・アライアンスが見込まれ、プラントエンジニアリング企業各社の動向が大いに注目される。
以上
