概要
㈱内田洋行(東証PRM8057)は、2024年9月10日、2027年7月期を最終年度とする3か年の第17次中期経営計画(2025年7月期~2027年7月期)を発表した。
2027年7月期の数値目標は、売上高3,400億円(2024年7月期実績2,779億円)、営業利益115億円(同93億円)、ROE10%前後(同12.1%)、とした。
施策
- 大手民間市場:DX投資の拡大で急成長するICT事業分野をベースに、他の分野のノウハウと顧客網を結び付けてビジネス機会の拡充を図り、ユニークな強みの具現化を進展させる。
- 公共市場:NEXTGIGAと自治体の情報システム標準化の推進を基に、教育ICTと自治体ICTを繋ぐ役割を担い、少子化に苦しむ地域に貢献を目指す。学校と公共施設の連携から地方創生へもつなげる。
- 伝統的に強みのある業種:食品・建設・福祉・印刷・教育機器・社会人教育などの業種をさらに強化すると同時に、他分野のリソースの活用と他分野への貢献で相互強化する。
- 民間市場のデータ活用:シェアの高い会議室運用支援サービス「Smart Rooms」、オフィスワークでのナビゲーションシステム「Smart Office Navigator」を軸に、デジタルデータの統合可視化と生成AIを活用したデータ解析・アナリティクス等を支援する「Mμgen」など、同社ソリューション群を起点にサービスビジネスの強化・拡充を図る。
- 公共市場のデータ活用:自治体の情報システムの標準化と学校の児童生徒のデータの標準化を結び、子供たちのデータを子供たちのために活かす。国内外でCBT(Computer Based Testing)の展開を図り、CBTと多様なアプリケーションを連携できる学習デジタルエコシステムの構築を目指す。
- グループ全体でのエンジニアリングリソースの強化:戦略的な市場の強化とデータ活用を支えるのは、顧客に近いところに立つエンジニアリングリソースにある。その強みはネットワークと業務系システムのノウハウにある。グループ全体を横断して民間・公共のシステムズエンジニアリングの強化と投資を行う。
- 長期的な経営基盤の安定を図るための投資の拡大:グループ共通システムの整備の継続推進として、グループの情報共有、業務効率向上とともに、フレキシブルな体制構築に不可欠な共通販売管理システムおよび周辺システムの整備を推進する。また、人への投資の拡大として、採用の拡充・人材育成(次世代経営層の育成、DX研修)、さらに、働く環境の整備、安全安心の強化、ブランド価値の向上・事業改革にともなうブランド発信の強化に取り組む。
所感
同社は、同一の事業領域にあるグループの事業リソースをこれまで以上に関連づけることで、同社グループ全体の市場変化への対応力を高め、より強い事業集団への発展を目指す。4つのマトリクスの視点から事業ポートフォリオを設定し、新たな事業の組み合せにより変革してきた取り組みを、今後はグループ全体に広げて、更なる将来の市場変化に機敏に対応できる体制構築を図る。同社が今後、グループ全体で市場変化に対応できるフレキシブルな体制を構築するにあたり、同社のM&A戦略が注目される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆
以上