概要
住友ゴム工業㈱(東証PRM5110、2024年12月期資本合計675,810百万円、資産合計1,341,123百万円、売上収益1,211,856百万円、営業利益11,186百万円)のセグメント情報を基に、同社の事業ポートフォリオの最適化について検討する。
住友ゴム工業のセグメント別事業内容
- タイヤ事業:「ダンロップ」「ファルケン」ブランドを中心に、乗用車用、トラック・バス用、モーターサイクル用タイヤを製造・販売。
- スポーツ事業:ゴルフクラブ「ゼクシオ」「スリクソン」、テニス用品「ダンロップ」ブランドを展開。ゴルフトーナメント運営、ゴルフスクール・テニススクール運営。
- 産業品事業:高機能ゴム製品(制振ダンパー、OA機器用ゴム、医療用ゴム)、生活用品(炊事用手袋、車椅子用スロープ)、インフラ資材(防舷材、工場・スポーツ施設用床材)など多岐にわたる製品の製造販売。
住友ゴム工業のセグメント別業績

- タイヤ事業、スポーツ事業、産業品事業共に一定のセグメント利益を確保するものの、各資産利益率は未だ十分な水準に達していないものとみられる。また、産業品事業については、個別アイテムの採算性にばらつきがあるものとみられる。
注目セグメント①タイヤ事業
- 売上収益全体の約86%を占める主力事業であり、特に「スマートタイヤ」や「センシングコア」技術を活かした高付加価値タイヤに経営資源を集中。自動車産業全体で電動化・自動運転化が進む中で、タイヤの高度化が求められている。
- 収益性低下が課題であった北米市場において、2025年には米国グッドイヤー社から「ダンロップ」商標権を取得し、北米・豪州での販売を強化。競争力維持の見通しであり、グローバル体制構築に伴い売上収益は順調に増加。利益率向上が期待される。
- 2025年1月、三菱ケミカル㈱とタイヤの主原料の一つであるカーボンブラックの資源循環の取り組みで協業開始。三菱ケミカルとの更なる協業拡大が望まれる。
注目セグメント②スポーツ事業
- ゴルフ用品「ゼクシオ」「スリクソン」、テニス用品「ダンロップ」によって構成され、特にゴルフクラブの販売が北米市場で堅調。
- ゴルフスクールやトーナメント運営などを含む「スポーツビジネス」としての価値を拡大。ゴルフ人気の拡大を背景に、特に北米市場での成長余地が大きく、具体的なM&A施策が期待される。
注目セグメント③産業品事業
- セグメント利益率において、2022年12月期1.6%、2023年12月期3.6%と低迷していたが、インフラ事業、OA機器用ゴム部品、制振ダンバーの増収が牽引し、2024年12期は9.4%と大きく改善。
- 2024年に欧州の医療用ゴム製品子会社Lonstroff AGを売却し、収益性改善に取り組んでいるが、比較的小規模の事業が多く、採算性のばらつきが課題。原材料の高騰により収益性が悪化、高機能ゴム製品の需要低迷、競争優位性低下など、長期的な成長性に課題。
- 制振ダンパーやメディカルラバーに経営資源を集中しつつ、その他の低収益事業領域は、事業売却、M&A、整理、撤退など抜本的見直しが望まれる。
所感
同社は、売上の大部分を占めるタイヤ事業を中心に据えつつ、ゴルフ用品を主軸とするスポーツ事業にも注力する方針を示している。一方、構造改革の対象約10事業のうち6事業の改革が完了。但し、産業品事業は、低収益性から引き続き改革が進められているとみられ、2025年度は非中核事業からの撤退が加速する可能性が高い。グローバル市場でのシェア拡大を目指すために、今後も選択と集中を一層推進し、成長領域へのリソース配分を強化する見通し。同社が掲げる「タイヤ進化」と「スポーツブランド強化」の実現が、今後の企業価値向上の鍵を握る。同社の今後の意欲的な取り組みが大いに注目される。
以上