アドバンテストが「第3期中期経営計画(2024年度~2026年度)」を発表

概要

 ㈱アドバンテスト(東証PRM6857)は、2024年6月25日、2027年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画「第3期中期経営計画(2024年度~2026年度)」を発表した。

 2027年3月期の数値目標は、売上高5,600~7,000億円(2024年3月期実績4,865億円)、当期利益930~1,470億円(同622億円)、とした。

施策
  • Outpace the growth in our core market (コア市場の成長率を上回る成長実現):これまでの成長戦略に沿い、同社は事業領域を年々拡大してきた。その結果、かつては半導体テスタ(ATE)市場が注力すべき市場の大半を占めていたが、本中計以降はATEを中核としつつも、これまで広げた領域をコア市場としながらさらなる成長に取り組む。この拡大したコア市場においては今後、半導体の生産量増加、半導体の高性能化対応、そして半導体の複雑性進行への対応が重要な成長機会になると想定。これに対しては、個々のテスト・ソリューションの性能向上に加え、顧客に“Automation of Test”、すなわち半導体テストの効率性向上をもたらす新たな価値を、同社が擁する多様な製品・ソリューション群の有機的な結合や社外パートナーとの連携などを通じて創造する。これらにより、今後のコア市場において、市場成長率を上回る事業成長を引き続き実現することを目指す。
  • Expand adjacently / new businesses (近縁市場・新規事業領域への展開):半導体の高性能化や複雑性が進行する中では、より広く、統合されたテスト・ソリューションが望まれる。同社はこれまでもシステムレベルテストやテスト周辺機器への事業展開を進めてきたが、今後もこのアプローチを継続することで顧客への提供価値をさらに拡大する。具体的には、同社製品のインストールベースを活用したフィールド・サービスやAdvantest CloudSolutionsTMの販促に取り組むほか、Applied Research Teamによる事業機会創生にも挑戦する。
  • Drive operational excellence (オペレーショナル・エクセレンスへの取り組みを推進):同社は、Chief Technology OfficerをはじめとしたCxOがグループ全体のオペレーションを管掌するCxO体制へ既に移行している。今後、各CxOの強いオーナーシップのもと社内技術の活用を部門横断的に進めることで、半導体業界におけるテスト課題を解決していく。また、同社のステークホルダー全てにとって価値がある企業となるためには、製品や技術面の優秀さだけではなく、あらゆるオペレーションの効率性と効果性を高めていく必要があると認識している。それに向け、DXを通じた社内オペレーションの迅速化と省人化、強靭なサプライチェーンの構築、有能人財の登用や社員教育の拡充などによる人的資本強化、AIやデータ・アナリティクスを活用した社内生産性向上などに取り組む。
所感

 同社は、半導体テスト関連市場は、短期的なダウンサイクルを織り込みつつも、中長期的に成長を続けると想定。本中計期間においてもそのシクリカルグロース構造に変化はなく、目下の半導体テスト関連市場は調整局面を未だ脱しきれていないものの、2024年度から再び成長サイクルを迎えると見込んでいる。同社は、資本政策として、研究開発、設備増強、M&A等の成長に向けた事業投資を優先する方針を掲げている。半導体市場の長期的拡大と半導体のさらなる高性能化に即して同社の将来キャッシュ創出力が拡大するよう、本中計期間中に予想される累計6,000億円以上の営業キャッシュ・フローを、中核事業におけるオーガニック成長投資ないしノン・オーガニック成長投資、および近縁市場への事業展開の加速に振り向ける。半導体市場の拡大に加えて半導体の複雑性への対応が業界における構造課題となる中で、同社の今後の取り組みが注目される。

  • 挑戦度☆☆
  • 戦略度☆☆
  • 期待度☆☆☆

「第3期中期経営計画(2024 年度~2026 年度)」策定に関するお知らせ

以上

株価算定・企業価値評価で全国対応の三澤公認会計士事務所

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