概要
日本リビング保証㈱(東証GRT7320)は、2024年8月9日、2027年6月期を最終年度とする3か年の中期経営計画(2025年6月期~2027年6月期)を発表した。
2027年6月期の数値目標は、売上高110億円(2023年6月期実績39億円)、営業利益25億円(同7億円)、とした。
施策
- メディアシークとの経営統合:IT人材採用競争が激化する中、㈱メディアシークと経営統合し、社内ITエンジニア100名体制を実現する。既存クライアントへのSIサービス提供のほか、成長戦略として掲げるSaaS/FinTech事業の拡大早期化により、収益拡大を企図する。また、毎年増加傾向にある社内SIを内製化することでコスト削減効果も見込む。
- 既存クライアントへのSIサービス提供:同社の営業力を最大限に活用し、SI案件受託を通じてSaaSの開発・展開に積極的に取り組む。ニーズに応えるサービス拡充で既存領域での収益底上げを図る。
- SaaSプロダクトの競争力強化:同社サービス「おうちbot」は、住宅事業者の人手不足解消を目的に、顧客である住宅オーナーからの様々な問合せに自動対応する業界特化SaaSとして、メディアシークと共同開発したサービス。先進の生成AIとの連携で、より柔軟かつ的確な問い合わせ受付対応を実現するとともに、個社別にカスタマイズ・最適化が可能な新機能の開発をスピーディーに進めることでリテンション率の維持向上を図る。
- FinTechプロダクトの早期ローンチ:リフォーム工事に関する見積・契約・請求業務をWEB完結させるとともに、当該業務とシームレスなカスタマーファイナンスサービス「KROX」を前倒しでローンチする。利用する事業者のリフォームビジネスにDXと金融を実装し、業務効率化と収益最大化に貢献する。
- 3,600万ユーザーのマーケティング活用:メディアシークの既存プロダクトを活かし、デジタルマーケティングサービスの新規提供を開始する。世界最高レベルのコード読み取り技術を搭載したアイコニットアプリはポイ活アプリとしての一面も持ち合わせており、全世界で約3,600万のダウンロードを誇る。ユーザーを活用したクイックな市場調査や集客支援スキームなど、クライアントに対して、新たなデジタルマーケティングサービスを提供する。
- ブレインテックサービスのマーケティング・販売強化:同社プロダクトである「NeuroSwitch」は全国で整骨院やパーソナルケアスタジオを運営するアトラグループの実店舗での提供を既に開始。今後更なる機能強化とともに、金融や保証ノウハウを活用することで脳波計測機器とトレーニングアプリをセットにしたB-to-Cサブスクリプション型サービスとして本格展開、拡販する。
- スタートアップ提携やM&Aの積極展開:スタートアップ支援の強化を通じた資本業務提携やM&Aの積極的展開を志向し、中期的にはCVCの設立を予定する。メディアシークはこれまで積極的なベンチャーインキュベーションを実施しており、合計6社のIPOを実現させている。ファシリティ・インフラ・資本・戦略・テクノロジー・人材・法務・経理財務・採用という幅広いソリューションを基に手厚い支援を行う。
所感
同社は、ハウスメーカーやマンションデベロッパーといった住宅事業者および住宅領域以外の幅広い製品・サービスに対して長期保証をはじめ各種アフターサービスソリューションを提供している。補修や検査といったリアルサービスのほか、近年では、アプリチャットボット、電子マネーといったデジタルサービスを開発し、住宅事業者を中心とした事業者のアフタサービスに係るDXを支援する。また、経営統合するメディアシークは、SIコンサルティングに定評があり、SIコンサルティングを伴う受託開発を行うコーポレートDX事業のほか、世界最高レベルのコード読み取り技術を活かした画像解析/AI事業、ゲームやファンクラブアプリなどの開発を行うライフスタイル事業を主軸とする。最先端技術であるブレインテックサービスにおいては国内の草分け的存在として認知されており、社員の8割を占めるエンジニアを擁すなど、スピーディーかつ高度なシステム開発力が強み。同社は、両社のビジネスを融合させ、ストック型ビジネスを強化すると共に、SaaSプロダクトやFinTech領域の早期展開を図ることで、さらなる成長を目指す。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
以上